空冷VWのテクニカルインフォメーション

エンジン調整の重要性について
 

エンジン調整の重要性について少しお話しようと思います。

空冷のVWは決してメインテナンスフリーではありません。

エンジン調整の内容はオンラインオーナーズマニュアルにも記しましたが、

 ●バルブクリアランス調整(俗に言うタペット調整)
 ●ポイントギャップ調整
 ●タイミング調整
 ●スパークプラグ清掃または交換
 ●キャブレター調整
 ●ファンベルト点検、調整

●バルブクリアランス調整は、メンテナンスのなかでも最も重要な物の一つです。
エンジンのパフォーマンスに直接影響します。
各シリンダーのTDC時に、バルブの先とロッカーアームのアジャストスクリューのクリアランスをシクネスゲージで計り規定値に調整します。

ご存知のとうりエンジンは温まったり冷えたりを幾度と無く繰り返します。
温まるとエンジンは膨張し、冷えると元の形状に戻ります。

ちなみにオーバーヒートとは冷えても元の形状に戻らないくらいエンジンがヒートしてしまった状態のことです。

バルブクリアランスはエンジンが冷間時にとり、エンジンが通常のオペレーティングテンプになった時にクリアランスが0に近くなるように調整します。

クリアランスが無さ過ぎるとエンジンオペレーティングテンプになった時、アジャストスクリュウがバルブを押したままになってしまいます。
(=燃焼室側ではバルブか閉まりきっていない)

点火時にバルブがしまりきっていないと当然通常の圧縮はのぞめません。

また反対にクリアランスが広すぎるとフルリフト時に規定のリフト量が得られず、バフォーマンスが落ちてしまいます。

このクリアランスは何度も温まったり冷えたりしていると微妙に狂ってきます。

現在の車はクリアランスを油圧によって常に0に保つようになっているので、定期的な調整は必要なくなっています。

●ポイントギャップの調整とタイミング調整は二個一だと考えてください。
ディストリビューターのキャップを開けポイントのかかとがディストリビューターシャフトのカム山の一番高いところに乗っているとき、ポイントのクリアランスを調整します。

クリアランスが狭すぎるとポイントの間を火花が飛んでしまい、一次電流を切断することができなくなります。=二次電量(プラグ)の火花が飛ばない。

JAFの人に聞いたのですが、空冷ワーゲンの行き倒れの約8割がポイントギャップの狭すぎらしいです。

ポイントのかかとを見て頂くとわかると思うのですが、シャフトに当るところがベークライトまたはプラスチックでてきています。速い回転でカム山に乗ったり降りたししていると、当然摩擦によりここが磨り減り、ポイントギャップが狭くなります。

特にディストリビューターのカム山に専用のグリスを塗っていないと、比較的すぐに減ってしまいます。

かといって広すぎると二次電量を起こすのに十分な電流を溜めることができません。

もうひとつ大事なことはポイントのクリアランスが減ると点火時期(タイミング)も変ってきてしまうということです。ですからポイント調整をした後は必ずタイミング調整もおこなってください。

●タイミング調整は文字どうり点火をTDCに対してどこで行うかを調整するものです。

ここで勘違いされてる方も多いと思いますので書いておきますが、ガソリンと空気の混合気は燃焼室で決して爆発しているのではありません。文字どうり燃焼(燃えている)しているのです。ちなみに爆発はデトネーションといいエンジンには致命的です。

燃焼しているということは、燃えるにはある程度の時間がかかるということです。

ですから点火位置は通常TDCよりも前(BTDC)になっています。(キャブレターとディストリビューターのコンビネーションにより例外あり)

タイミングは早すぎても遅すぎてもパフォーマンスが落ちたり、オーバーヒートしたりします。

こちらも現在の車ではフルトランジスタ方式になっているので、調整の必要はありません。

●スパークプラグの清掃についてはご存知の方も多いと思います。

メンテナンスフリーのプラチナプラグを使う人もいますが、空冷VWでは定期的にプラグを取り外し、メンテをしないとシリンダーヘッドとプラグのねじ山が固着してしまい、プラグが外れない、またはねじ山をいためてしまうことになります。

●キャブレターの調整も説明は不要だと思いますが、上記のメンテナンスを定期的に行っていると大きく狂っていることはほとんど無いと思います。

●ファンベルトは空冷VWの生命線です。ファンペルとがないと水冷の車の水が全く無いのと同じです。ファンベルトのテンションはきつすぎると切れやすく、ゆるすぎるとスリップしてオーバーヒートの原因になります。

値段的にも決して高価ではありませんのでクラックなどを発見した場合はすぐに交換しましょう。スペアとして21mmのレンチと一緒に車に積んでおくことを強くお勧めします。

以上のメンテナンスをデイリードライバーであれば最低半年に一回、ウィークエンドドライバーなら約一年に一回受けていればエンジントラブルの90%以上を防ぐことができます。

何か調子がおかしい場合はまずエンジン調整をうけてください!!

 

オーバーヒートについて
 

BBSでオーバーヒートについてご質問はありましたので、お答えします。

まず第一にオイルテンプゲージの信頼性が問題になってきます。
現在ワーゲン用に出回っているゲージはVDOなどのブランド名に関わらずあまり
信頼できるものでははありません。

これらのゲージはアメリカで$25ー(日本円¥3.000ー)くらいで売られているもので、だいたい南米で生産されています。
本当に信頼できるゲージは2万円代〜だと思ったほうが無難でしょう。

またオーバーヒートを考える場合、
何がオーバーヒートの原因になっているのかを付きとめる必要があります。

空冷ワーゲンでも、ストックのエンジンで各パートが正常に働いていると、
オーバーヒートすることはありません。
言いかえればオーバーヒートするということは”どこかおかしい”ということなのです。

オーバーヒートの原因は色々有ります。

タイミング、キャブ及びキャブとエンジンのマッチング、ボアアップされたエンジンでは圧縮比、バルブサイズどエキゾーストサイズのミスマッチ、ファンベルトが滑っている、クランクプーリーサイズ、ファンハウジングの裏側に何か詰まっている、などです。

また見逃しがちなのが、エンジンシールのコンディションです。(T-1,2の場合)
エンジンのティンとクルマのボディの隙間を埋めているシールです。

想像してみてください。
エンジンリッドがしまった状態でエンジンが回っています。
キャブやファンから空気をどんどん吸っています。
ということはエンジンルーム内は常に不圧状態になり、
どこかから空気を吸い込もうとします。

そのときにエンジンシールが破れていたり、無かったりすると、
排気で暖められたエンジンの下のほうの空気をもろに吸い込んでしまいます。
これではオーバーヒートしても仕方ありません。
ですからハイテンションコードにプラグ側についている、シールも要チェックです。
またリアのエンジンティンに穴が開いている、
またエンジンティン自体が無いなどもオーバーヒートに直結します。

キャブについて言えば、大体の人が勘違いしているようですが、
ミクスチャーは薄いほうが、オーバーヒートします。
ガソリンが濃い分には、がぶったり、排気から黒い煙がでたり、
燃費が悪くなったりしますが、エンジン本体にはあまり支障はありません。

ミクスチャーが薄い場合は、リーンバーンという状態になり、
エンジンはオーバーヒートし、寿命も短くなります。

またタイミングは、早すぎても遅すぎてもオーバーヒートします。

オーバーヒートするからオイルサンプを付ける、または外付けのオイルクーラーを
付けるというのはバンドエイド的な発想で、問題を根本的に解決していません。

今現在オーバーヒートしている方は、まずエンジン調整を受けてみてください。
それで何がオーバーヒートの原因になっているのかだいたいわかります。

応急措置的には、T-1の方はエンジンリッドの下を少し浮かして走る。
T-2の方はボディ後方のルーバーにエアースクープを取り付ける。
T-3の方はエンジンの一番後ろにあるエアーインテイクベローに
穴が開いていないか確かめる。などでしょうか。

 

下回りのスチーム洗浄及びシャーシブラック塗布について
 

こちらも巷の整備工場及びディーラーの車検では、ほとんどといってもいいくらい
省かれているようです。まぁ新車から5年以内のクルマにこんなことをしていると、
それこそ”過剰整備”と言われてしまうでしょう。

でも10年以上経ったクルマはどうでしょう?
下回りは石はねなどにより塗装が剥げ、そこから錆が発生してしまいます。
また雨の日に走って跳ね上げた泥などが付着し、
その泥が湿気を溜めて錆の発生原因になります。

クルマを大切にするなら、やはり車検毎くらいに下回りのスチーム洗浄を受けることをお勧めします。
 

ブレーキのメンテナンスについて
 

空冷VWが自動車である限り、ブレーキのメンテナンスはとても重要です。

最近はほとんどの整備工場(ディーラーを含む)は車検でもホイルシリンダーの分解O/Hをせず、エア抜きだけで済ませる場合が多いようです。
(ひどいところは、エア抜きすらしていないようです。)
整備するだいたいのクルマが新車から10年以内であれば、
これでも問題ないでしょう。

しかし空冷VWは違います。実際オールドカマーに入庫する車検のクルマの
ホイルシリンダーを分解したところ、約3割に後にオイル漏れの原因になる錆びの
発生が見られます。
(もちろんきちんとした分解整備を毎回車検で受けている車では、ほぼ皆無です。)

ブレーキオイルは3年間放っておくと必ず錆びが発生します。
ブレーキオイル自体が吸湿性だからです。

少なくとも2年毎に必ずブレーキオイルの交換。エア抜きを行ってください。

長期間保存するクルマもこうしておくと、復活させるときにすべてのホイルシリンダーを交換せずに済みます。

 

12月20日 BBS 66Bugさんへのお返事です。
 

御質問の内容はオリジナルのダブルバンパーとリプロの物の見分け方を
教えてください。っとのこと。

下の写真をご覧下さい。一枚目の写真はオリジナルのバンバー、

二枚目の物がリプロのバンパーです。

まるで囲んだところを見てもらいますと、オリジナルのものは、
バンパーボウがバンパーに接するところに何もありません。

それに対してリプロのものはゴムが付いているのがお分かりいただけると思います。

 



またオリジナルの物は、バンパーブレードの中央裏側の下のほうを良く見ると
VWマークが入っています。

またリプロのものはご覧のように、非常に錆びやすいです。

最近リプロの物でもゴムがつかない物も出回っています。

これについてはトリプルクロームが施されておりクオリティは良いのですが
結構高価です。

前後とも4万円弱です。

オリジナルをリクロームしたものは、
値段はまちまちですが5万円ぐらいではないでしょうか?